あなたの「曖昧な指示」が、部下を「働かない人材」に育てていませんか?元SEが教える、見えない人件費を削減する業務指示の技術

「何度言っても、アシスタントが期待通りに動いてくれない」
「結局、自分でやった方が早いじゃないか!」

日々の雑務に追われる中で部下やスタッフとの意思疎通がうまくいかず、こんな風に頭を抱えている経営者の方は、決して少なくないのではないでしょうか?

そのイライラや、もどかしい気持ち。
事業を前に進めたいのに、足元の連携がうまくいかない悔しさ。
私も多くの経営者の方から、そうしたお悩みを伺ってきました

ですが、ここで一度立ち止まって考えてみてほしいのです。

その問題、本当にアシスタントや部下の「能力」や「やる気」だけのせいなのでしょうか?

こんにちは。事務代行サービス・アージュスタイルの代表、山田亜希子です。
これまで35社以上のバックオフィスを構築し、1万件以上の業務指示を見てきた私が断言します。スタッフが動かない組織の根本原因は、9割以上「上司の指示の出し方」にあります。

実は私は、事業を始める前に6年間システムエンジニア(SE)として働いていました。
今回は、その経験から導き出した多くの上司が陥りがちな「指示の出し方」の落とし穴と、誰がやっても完璧な結果を生み出す「実行可能な指示書」の書き方について、お話ししたいと思います。

私が「マニュアル主義」を徹底する理由 - 元SEとしての原体験

弊社アージュスタイルの事務代行サービスは、お客様に「業務マニュアル」をご用意いただくことを大前提としています。
「そこまで準備するのは面倒だ」と思われるかもしれません。
ですが、私たちがこのスタイルを貫くのには、明確な理由があります。

それは、個人の能力や解釈に依存する仕事のやり方には、限界があると痛感したからです。

SEの世界では、プログラマーが書いたコードに「バグ(欠陥)」があるとシステムは正常に動きません。
たとえ世界最高のスーパーコンピューターであっても、命令が曖昧だったり、矛盾していたりすれば、フリーズするか予期せぬエラーを吐き出すだけです。

これ、人間の組織でも全く同じだと思いませんか?

経営者であるあなたの頭の中には、完成形の素晴らしいイメージがある。
でも、それを部下に伝えるあなたの「指示」という名のプログラムに、もしバグがたくさん含まれていたら?

優秀なスタッフほど、そのバグをどう解釈すべきか悩み、立ち止まってしまうでしょう。
あるいは、良かれと思って解釈した結果があなたの意図とは全く違うものになってしまうかもしれません。

「いい感じにやっといて」
「なるべく早く、よろしく!」
「常識的に考えればわかるでしょ?」

これらはすべて、SEの世界では「コンパイルエラー(実行不可能な命令)」確定の、バグだらけの指示なのです。

アシスタントが動いてくれないのではなく、あなたの指示が曖昧すぎて動けない。
私は、これが問題の本質だと考えています。

誰がやっても同じ結果になる!SEの思考法に学ぶ「実行可能な指示書」5つの原則

では、どうすればバグのない、誰が読んでも同じ結果を再現できる「実行可能な指示書」を書けるのでしょうか。
システム開発における「要件定義書」の考え方を応用した、5つの原則をご紹介します。

原則1:曖昧さを許さない。「いい感じ」を数値と言語に翻訳する

指示書における最大の敵は「曖昧さ」です。
あなたの思う「いい感じ」と、アシスタントの思う「いい感じ」は、まず間違いなく違います。
感覚的な言葉を徹底的に排除し、具体的な数値や言語に置き換えましょう。

具体的な言葉を使う

  • 悪い例:「この資料、いい感じにまとめておいて」
  • 良い例:「添付の資料AとBから、売上上位5位までの商品名と売上額を抜き出し、Excelファイルに見出し16ptのゴシック体で表を作成してください。ファイル名は『2025年9月度売上報告.xlsx』で、15時までに社内システムのチャットで提出してください」

誰が作業しても同じ結果になるレベルまで、具体的に記述することが鉄則です。

原則2:ゴールの共有。「完成形」のイメージを最初に提示する

何のためにこの作業をするのか?
そして、最終的にどんな状態になっていれば「完成」なのか?
そのゴールイメージを最初に共有することが極めて重要です。

車の運転に例えるなら、目的地を告げずに「とりあえず東に向かって走って」と言うようなもの。
それでは、どこにたどり着くかわかりませんよね。

「ゴール」を明確に定める

  • 悪い例:「ブログ記事の画像を探しておいてください」
  • 良い例:「来週公開予定の『〇〇』というテーマのブログ記事に使用するアイキャッチ画像を探してください。完成イメージは添付のA.jpgのような雰囲気で、ターゲット読者である40代女性に信頼感を与えるような、落ち着いた色調の画像が3パターン欲しいです」

完成形のサンプルや見本を提示することで、認識のズレを劇的に減らすことができます。

原則3:思考のプロセスを省かない。「なぜ」この作業が必要なのかを伝える

「言われたことだけやればいい」という指示は、一見効率的に見えます。
しかし、応用が利かず、少しでもイレギュラーな事態が起きると、スタッフは途端に動けなくなってしまいます。

作業の背景や目的、つまり「なぜ」この作業が必要なのかを伝えることで、スタッフは作業を自分事として捉え、より主体的に動けるようになります。

タスクの目的を共有する

  • 悪い例:「このリストのお客様に、DMを送ってください」
  • 良い例:「このリストは、先月のセミナーに参加してくださった、特に満足度が高かったお客様です。感謝の気持ちを伝え、次回の特別セミナーをご案内するためにDMを送ります。なので、文面は丁寧さを最優先してください」

原則4:例外処理を定義する。「もし〇〇だったら」を想定しておく

システム開発では「正常な場合」の処理だけでなく、「エラーが起きた場合」や「想定外のデータが入力された場合」の処理(例外処理)をあらかじめ決めておくのが常識です。

そしてこれは、ビジネスの現場でも同じです。
「もし、こうなったらどうする?」という分岐点をあらかじめ示しておくことで、スタッフがその都度あなたに確認する手間が省け、業務がスムーズに進みます。

想定外の事態は「ある」前提で!

  • 悪い例:「問い合わせがあったら、対応してください」
  • 良い例:「製品Aに関する問い合わせがあった場合は、マニュアルのP.5を参照して回答してください。もしマニュアルにない質問が来た場合は、自分で判断せず、必ず私に報告してください。料金に関する問い合わせは、すべて私に転送してください」

原則5:専門用語を避ける。中学生でもわかる言葉で書く

あなたが当たり前に使っている業界用語や社内用語が、アシスタントには通じないケースはよくあります。
指示書は、その業務に全く知識がない人が読んでも理解できるくらい、平易な言葉で書くことを心がけましょう。

「この件、よしなにやっといて」は論外です。
あなたが無意識に使っている言葉の「定義」を、一度見直してみることをお勧めします。

「指示書」は、あなたを雑務から解放する最強のツール

ここまで読んで、「なんだか面倒くさそうだ」と感じた方もいるかもしれません。
精度の高い指示書を最初に作成するのは、確かに少し骨が折れる作業でしょう。

ですが、一度この「実行可能な指示書」という名の資産を築いてしまえば、どうなるでしょう?

業務指示書で、あなたが得られる「未来」

  • あなたが毎回口頭で説明していた時間が、ゼロになります。
  • 担当者が変わっても、引き継ぎはマニュアルを渡すだけで完了します。
  • 成果物のクオリティが安定し、「こんなはずじゃなかった」という手戻りがなくなります

結果として、あなたは「人に任せる」ことから来るストレスから解放され、本来あなたがやるべき事業のコア業務に集中できる時間を手に入れることができるのです。

まとめ:アシスタントは、あなたの思考を映す鏡です

アシスタントや部下は、あなたの思考を映し出す「鏡」です。
もしも彼らの動きが鈍いと感じるなら、それはあなたの思考、つまり「指示」が整理されていない証拠なのかもしれません。

アシスタントの能力を嘆く前に、まずはご自身の「指示の出し方」を見直してみませんか?

元SEの私から見れば、ビジネスにおける多くの問題はこの「指示のバグ」を取り除くことで解決できる可能性が高いです。

今回ご紹介した5つの原則を使って、ぜひあなたの「指示」をアップデートしてみてください。
きっとあなたのアシスタントは「もうひとりの自分」のように、驚くほどスムーズに動いてくれるようになるはずです。

雑務から解放され、コア業務に集中しませんか?

弊社アージュスタイルでは、今回お話ししたような「実行可能な指示書」に基づき、あなたの業務を忠実に実行する事務代行サービスを提供しています。

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そんなあなたのための、システム思考に基づいた事務代行です。
日々の雑務に追われ、本来の仕事に集中できないとお悩みでしたら、ぜひ一度ご相談ください。

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