【元SEが断言】そのマニュアル、「バグ」だらけじゃないですか?手戻りをゼロにする「業務仕様書」の書き方
こんにちは。アージュスタイルの山田亜希子です。
私は大学を卒業後、システムエンジニア(SE)として6年間勤務し、その後フリーランスを経て現在は事務代行サービス事業と、オンライン秘書の育成に携わっています。
日々、多くの経営者の方から「スタッフに業務を任せたい」「事務代行に依頼したい」というご相談を受ける中で、必ずぶつかる大きな壁があります。
それは、「業務マニュアル」の存在です。
「マニュアルは用意しています。でも、なぜかミスが減らないんです」
「何度も同じことを説明しているのに、手戻りばかりで」
こういったお悩み、あなたにも心当たりはありませんか?
その悩み、もしかするとマニュアルの「品質」が原因ではなく、マニュアルの「定義」そのものが間違っているのかもしれません。
元SEの視点から言わせていただくと、多くの経営者が作っているのは「マニュアル」ではなく、ただの「作業メモ」に過ぎないケースが非常に多いのです。
今日は、あなたの業務品質を100%保証するために、なぜSEが書く「仕様書」の考え方が必要なのか、その具体的な書き方についてお話ししていきます。
目次
「これくらい分かるはず」が通用しない理由
私がSEだった頃、何よりも厳しく叩き込まれたのは「コンピューターは行間を読まない」という事実です。
例えば、
「もしエラーが出たら、いい感じに処理しておいて」
こんな指示(プログラムコード)を書いたら、システムは100%停止します。
「いい感じに」とは何か、コンピューターには判断できないからです。
これは、事務代行やスタッフワークにおいても全く同じです。
経営者であるあなたは、その業務に長年携わっていますから、「これくらい分かるだろう」「常識的にこうするはずだ」という無意識の「前提知識」があります。
ですが、新しく入ったスタッフや、外部の事務代行担当者にとって、あなたの「常識」は「未知の言語」です。
「これくらい」が通用しない相手に業務を依頼する時、必要なのは「作業メモ」ではなく、一語一句の定義が明確な「仕様書」なのです。
なぜ、あなたのマニュアルは機能しないのか?SE視点での「3つの欠陥」
では、機能しない「作業メモ」と、品質を保証する「業務仕様書」の違いはどこにあるのでしょうか。
SEの視点で見ると、機能しないマニュアルには大きく分けて「3つの欠陥」があります。
欠陥1:専門用語や「社内語」が定義されていない
システム開発では、まず「用語集(定義ファイル)」を作ります。
例えば「顧客」という言葉ひとつでも、「見込み客」「既存客」「休眠客」など、そのシステム内でどう定義するかを厳密に決めます。
あなたのマニュアルに、「A社の件」「いつものやり方で」「例のファイル」といった言葉が出てきませんか?
それこそが、あなた(あるいは古参のスタッフ)にしか分からない「社内語」です。
作業者が変わった瞬間に、そのマニュアルは機能停止します。
欠陥2:「もし〜〜だったら(if)」が想定されていない
私たちが「もし(if)〜〜なら、Aをする。そうでない(else)なら、Bをする」という「条件分岐」と呼ぶものです。
機能する仕様書は、正常なパターンの何倍もの時間をかけて、「例外処理」を記述します。
例外処理・事例集
「もし、お客様から返信がなかったら?」
「もし、ファイルが開けなかったら?」
「もし、指定された日付が祝日だったら?」
あなたのマニュアルが、「(うまくいく時の)メインルート」しか書かれていなかったら、作業者は例外にぶつかるたびに立ち止まり、あなたに質問し、業務は遅延します。
これこそが「手戻り」の正体です。
欠陥3:「完了の定義」が曖昧である
「ブログ記事をAさんに渡す」
これは、一見すると明確な指示に見えます。
ですが、SE的に言えば「完了の定義」が曖昧すぎます。
「完了」の定義例
- 「渡す」とは、メール添付か?チャットか?サーバーへのアップロードか?
- 「Aさんに渡す」だけで終わりか?それとも「Aさんが受け取ったことを確認する」までがタスクか?
- 「渡した」後、作業者は何をすべきか?(次の作業に進むか?待機するか?)
「終わったと思ったのに、できていなかった」というトラブルは、この完了の定義が作業者と依頼者とでズレているために発生するのです。
品質を100%保証する「業務仕様書」の3つの構成要素
では、どうすれば「作業メモ」を「業務仕様書」に昇華できるのでしょうか?
難しく考える必要はありません。
まずは以下の3つの要素を、あなたのマニュアルに加えてみてください。
要素1:用語集(定義ファイル)の作成
マニュアルの冒頭に、その業務で使う「言葉の定義」を書き出します。
用語集「これを定義する」
- 社内語、専門用語、略語の解説
- ファイル名やフォルダ名の命名規則
- 関係者の連絡先と、その「担当範囲」
これだけで、作業者の「これって何ですか?」という質問は激減します。
要素2:業務フローと例外処理(アルゴリズム)の明記
作業の手順を、単に「箇条書き」にするのをやめてみましょう。
「Step 1」「Step 2」と書くだけでなく、その間に「条件分岐(もし〜〜なら)」を挟むのです。
条件分岐・設定例
「Step 3: お客様にメールを送る」
- 【分岐】 3日以内に返信があれば
→ Step 4へ - 【分岐】 3日以内に返信がなければ
→ 「リマインドメール(テンプレB)」を送り、担当者に報告する
このように、作業者の「迷い」をすべて潰しておくことが、品質担保の鍵です。
要素3:インプットとアウトプット(I/O)の定義
こちらはSEの基本ですが、すべての業務には「インプット(必要な材料)」と「アウトプット(完成物)」があります。
これを明確に定義します。
「業務」の定義例
- 業務名:請求書発行
- インプット(材料):
確定した「納品データ(Excel)」、先月の「請求書番号」 - アウトプット(完成物):
「請求書PDF(指定フォルダに格納)」「送付完了メール(テンプレC)」
「業務」の内容がきっちり設定されていれば、作業者はまず「インプット」がすべて揃っているかを確認できます。
そして依頼者であるあなたは、「アウトプット」がすべて揃っているかを確認すれば、それが「完了」の証拠となります。
仕様書は「冷たい」か?いいえ、最高の「信頼関係」の土台です
ここまでお読みになって、「そんな機械的なマニュアル、冷たい感じがする」「察して動いてほしい」と思われたかもしれません。
ですが、逆です。
指示が曖昧だから、作業者は「これで合っているか」と不安になり、依頼者は「なぜ分からないんだ」と不満になるのです。
私が運営する事務代行サービスでは、クライアントに詳細なマニュアルのご用意をお願いしています。これは、私たちが「察する能力」がないからではありません。
「指示通りに業務を遂行し、余計なことはしない信頼性」こそが、プロの仕事だと考えているからです。
<こちらもご覧ください>
なぜ、あなたの会社では人が育たないのか? マニュアルを「管理ツール」だと勘違いしている社長の末路
「仕様書」とは、お互いの「分かるはず」という曖昧な期待を排除するために存在します。
そして、「書かれていることを、書かれた通りに実行し、同じ結果を出す」という、プロフェッショナルな信頼関係を築くための土台なのです。
曖昧な指示をなくし、あなたの「システム」を安定稼働させるために
フリーランスであれ、社内スタッフであれ、あなたの貴重な業務を任せる相手に「作業メモ」を渡してはいけません。
それはリスク管理の放棄です。
私自身、作業スタッフとしてフリーランスの事務代行を使っていた時代に、突然の「妊娠しました。来月で辞めます」という一方的な申し出で痛い目に遭った経験があります。
だからこそ、個人の能力に依存しない「仕組み」が重要なのです。
元SEの視点から言えば、あなたの会社もひとつの「システム」です。
そのシステムを安定稼働させるために、まずは「バグ」だらけの曖昧な指示をなくし、誰が実行しても同じ結果が出る「業務仕様書」の作成から始めてみてはいかがでしょうか。
「どうすれば事務代行業者に、スムーズに業務を依頼できるのか?」
「自分の業務を、どうやって仕様書に落とし込めばいいか分からない」
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